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トーチカ〜瑠璃シーン⑥前編14

小説です。人に言えない嗜好や秘密、官能
人間はそれをどう思うか
自分でどう対処していくのか。

みんな違って、みんないい。
人と違う自分を異常と責めないで。


アメブロで消されてしまうので、はてなブログに上げます!

瑠璃シーン⑥のキャッチコピーは、
俺とお前の攻防戦。
(チカ曰く、なんだそうな。)

じわじわくる、サスペンス劇場。

半年以上続いたトーチカ~神楽シーン⑥が終わり、
トーチカ~瑠璃シーン⑥始まりました。
トップモデルとなった瑠璃の真骨頂とも言える、瑠璃シーン⑥となります。

瑠璃の魅力、瑠璃チカの結婚式、そして妊娠までを書きます。

神楽シーン⑥が男眼線のエロならば、
瑠璃シーン⑥は女眼線のエロとなるでしょう。

神楽シーン⑥での、瑠璃シーン側では、何が起こっていたのか?
真実は、こんなだったという意外性満載!

トーチカ~瑠璃シーン⑥
トップモデルとなった瑠璃の真骨頂とも言える、瑠璃シーン⑥となります。

瑠璃の魅力、瑠璃チカの結婚式、そして妊娠までを書きます。

トーチカ~瑠璃シーン⑥前編13
ファッションの重鎮に「あなたはパリで活動すべき。」と言われた瑠璃。
パリも楽しみ、ここはたまに来る場所と認識する。
ロンドンを拠点にモデル活動をしていくと決めた。


トーチカ神楽シーン①
東三河に住む、未来を知っている少女
神楽の眼線
神楽シーン⑥で、東三河から神奈川に嫁入りしました。

トーチカ~瑠璃シーン①
神奈川に住む、ティーンズモデルの美少女
だった瑠璃の眼線
今は世界に立つスーパーモデル

神楽シーン瑠璃シーンの同時期を交互に書いていきます。
どちらにも童顔、永遠の少年の二花(つぐはる)が絡んできます。

トーチカのこれまでの話のリンクはこちらから

トーチカ以前のお話もこちら↑



BGMにミニーリパートン"Lovin'g you"。

"カルメン組曲"。

つるの剛士"You're the only shinin' star"、原曲のミポリンもいいの。 

華原朋美"I'm proud"
人は人の真実の些細な言葉で癒やしが起こり、突然変わってしまうものなのだと目撃しました。
話を書いていて、打ち震えた。
わたしの誇り、誰の誇り?

そして
TM network "ELECTRIC PROPHET -電気じかけの予言者" 
昔から大好きな曲で、恋人がここから、また一緒に歩き出す、というイメージです。
「We are inferior to each other
   We surrender everyday」
互いに常に、そのままの相手を認めあい、見つめている。

言うは易しだけど、特に恋愛においては、とても難しい課題。
瑠璃とチカは、そこに向き合っていきます。

さあ、前編を終えるのに、これが必要だった。
瑠璃とチカの物語、ひとつのポイントへ進みます。

トーチカ~瑠璃シーン⑥前編14

その日は突然やって来た。
これが神の采配というものか。
瑠璃とチカは、後からそれを実感する。

ロンドンに帰ってきた次の夜、チカのスマートフォンにリックから、残り二セットが完成したと連絡があった。

「You don't have you come. We would go get that tomorrow. (来て頂かなくても結構ですよ。明日、取りに行きます。)」

チカは業務連絡のように言ったが、そのあとの向こうの話を黙って聞いていた。

「Certainly. I apologise for the trouble this will cause you, but I appreciate your kind cooperation. (了解致しました。お手数をお掛けしますが、よろしくお願い致します。) 」

そして、バカ丁寧に返事をしていた。

「なんて?」

テーブルでツナの生姜醤油煮を食べながら、瑠璃はチカに尋ねる。

「明日から二日、仕事で郊外に行くんだとよ。だから、どうしても今日、渡しときたいってさ。わざわざ、帰るついでに家に来てくれる。メンドー。」

チカは鼻息を大きく吹いてから、椅子に座った。

「あら。リック、ご飯食べたかしら?ついでに食べてったらいいわね。」 

おかずの量はもう足りないが、冷蔵庫に肉がある。
瑠璃は椅子から立ち上がった。

「リックの為に、わざわざ作らなくてもいいよ。」

「届けに来てくれるのよ?じゃあ、あなたの為に作るわ。肉が食べたいって泣かれるから。」

「……そんなら、肉じゃが。」

「ええ、いいわよ。」

渋々とした顔のチカのリクエストに応える。
早速、瑠璃はじゃがいもと玉葱をカットしていく。
チカはその姿に見惚れながら食べている。

「あかん。瑠璃の素早い調理姿も艶やかすぎるわ。もう、ぼ っき ぼきや。」

何故、関西弁かは判らないが、チカは右手で箸を使いながら、左手で 股 間 を撫でていた。

「いつも、それね。」

「裸にエプロンさせてえ。リックが来るんじゃなきゃ、今すぐ脱がすのに。」

そんな訳で、料理どころではなくなる時もたまにあるのだ。

とはいえ、チカに妙な緊張感がある事を、瑠璃は肌で感じ取っていた。
リックが家に来るのが、相当不快なのか。

肉じゃがが出来上がった頃に、リックはやって来た。
相変わらず煌めいた紫のキャミソールドレスだった。

「We take our shoes off inside the house.」

チカはぶっきらぼうにそう言い、玄関でスリッパを差し出す。

「Thank you. 」

リックは、そんなチカの後頭部をじっと見ていた。
ハイヒールを脱いで、そして、瑠璃に微笑む。

「Rick, did you eat dinner?」

瑠璃はリックを見上げて尋ねた。

「I still haven't eaten. 」

「お腹は空いてる?よかったら、食べて。和食だけど。」

リックは、じっと瑠璃の顔を見ていた。
そして、チカの顔を見る。

「She makes food for me. You can eat the remainder of the food. (彼女は僕の為にご飯を作ってくれるんだ。その残りを食べたら?) 」

相変わらず、嫌味な言い方をする。
たが、リックは微笑んで頷いた。

「食べます。ありがとう。」

瑠璃のお手製の和食、というのが相当に嬉しかったらしい。
リックは箸使いも上手だったし、肉じゃがもブロッコリーのサラダもライスも味噌汁も、喜んで食べた。

「美味しい。とても、美味しい。」

喜んでくれると、張り合いがある。
チカも負けじと、食べていた。

「あなたはしあわせものだ。」

リックはチカを見て、笑いながら、そう言う。
そんな巧みな言葉遣いも、以前の恋人から習ったのだろうか。

「Yes, I'm the happiest person in the world. 」

チカは平然と返した。

「こんな女は、もっと奪いたくなる―お待たせしました。これを。」

食事の途中だが、リックは荷物から丁寧に包装した袋を取り出した。
瑠璃に手渡す。

「ありがとう。試してみるわね。」

「じゃ、俺も。」

チカは箸を置いて立ち上がった。

「チカは食べてて。」

「いや、俺がしっかり見ないと。」

「もうっ。」

瑠璃は恥ずかしそうに立ち上がる。

「リック、食べててね。全部食べちゃってもいいわよ。」

「ありがとう。美味しいから、沢山食べるよ。」

「沢山、食べて。」

そんな瑠璃をチカは強引に手を引いて寝室に連れて行った。
寝室に入ると、瑠璃の両手首を後ろにして摑む。

「何、他の男に色目使ってんだ?」

低い声が耳元で響く。

「使って……ないわよ。」

「リックに褒められたかったんだろ?手料理食べさせて、手懐けたかったのか?」

「そんなの……」

その期待が無かったとは言えない。
チカは舌打ちして、瑠璃を勢いよく脱がした。
下着も剥ぎ取る。
そして、新たなセットを着けた。
赤の光沢のあるセクシーな下着だ。

「うん。似合うよ、これも。ぴったりだね。」

声がいつもより、怖い。
すぐに脱がせて、またもう一セットを着けた。
こちらは光沢のないタイプだ。
その落ち着きさとレースの豪華さが、逆にきらびやかだ。

「で、これは瑠璃、頼んだかな?」

チカは苛々としながら、袋からロイヤルブルーのベビードールを取り出した。

「頼んでないわ。」

頼んだ覚えも、見覚えもない。
明らかにリックからの贈り物、だった。

「やら しーよね、これ。スケスケだし、臍から開いてて。」

怒りながらも瑠璃にそれを着させた。

「うん、似合うよ。余計に襲いたくなるな。」

チカは少し離れて冷酷な眼で瑠璃を観察している。
それがまた、ゾクゾクとする。

「今はーダメよ。」

リックがいるのだから。

「ダメ?」

チカは後ろから下着に手を入れてきた。

「こんなにしてて?何が、ダメ?」

「あ……イヤ。」

指で 音を 激しく 立てている。

「あっ、んっ、」

「そんな声出したら、聞こえるぞ。」

耳元で押し殺した声が瑠璃を攻めてくる。
苛ついているからか、余計に執拗だった。

「だっ―ああっ!」

指が 一氣に 三本に 増えたから、瑠璃は叫んで仰け反った。

「そんな大声を出して……聞かせたかったんだな?リックに。」

「ちが―やっ!あっ!」

訳が判らなくなる。
ただ、チカにもっとされたい。
リックがこの家にいるだなんて、それすら、どうでも良くなる。

ふっと、チカは瑠璃を離した。
急にワンピースを着せていく。

「あ……チカ、ダメ。我慢―出来ない。」

こんなに中途半端にして。
達する直前だったのに。
瑠璃は息を荒くして、チカの首に抱きつく。

「お願い、もっと、して。」

「ダメだ、リックがいる。我慢しろ。」

最上級に意地悪なチカだ。
瑠璃はこの冷酷なお仕置きに、氣が遠くなるようだった。

「も……ダメ。して。」

「顔に出すな。我慢しろ。」

チカは怒っているだけではない。
何かの苛立ちがあるのが、判る。
それはただ単に、リックが家に来たから、だけではない。

「イヤ―ムリ。」

「我慢しろ。」

瑠璃の顎を摑んで、深い緑の眼が見据えてくる。

「我慢出来なかったら、リックの前で 犯 すぞ。」

その言葉に、瑠璃はどくんと震える。

「何、垂 らした?こんなにして。」

脚の間を、つっと生温い液体が伝っていく。
下着を穿いてるのに、こんな。
瑠璃はただ、小刻みに震えている。

「や らしい女だな。犯 されたいのか、そんなに。リックの前で 犯 される事、想像したらイ ッたのか?」

「や……」

チカの指が、その液体を拭う。
それを口にしていた。
チカはしゃがんで、瑠璃の脚にある体液を舐 め始めた。

「瑠璃はこんなに淫 乱なんだね。そうか、見られたいんだな、リックに。」

「そんなの……イヤ。」

嫌な筈なのに、身体が勝手に反応した。
瑠璃がチカに後ろから指で 弄 られている処を、リックが見入っている。
その眼、あの、興奮した青の眼を想い出して、瑠璃は更に震えた。

「ああ、また出てきた。凄いな。」

チカは脚を摑みながら舌を動かしている。
その手が上に移動し、下着を脱がした。

「新しい下着もこんなにして。これをリックに見せるか?汚すくらい、とても興奮する下着ですって。」

「イヤ……」

「イヤって言いながら、瑠璃スゴいよ。どんどん溢 れてくる。」

「ダメ、ダメ……」

自分がここまでとは知らなかった。
こんな状況に、とてつもなく感じている。
ゾクゾクする。

「超ドMは、こんなに乱れてる姿を他の男に見せたいんだな?」

「イヤ、やめて。」

舌を離して、チカは立ち上がった。

「瑠璃が見せたければ見せろ。イヤなら我慢しろ。」

「ダメ……」

それなのに、チカは手を引いて寝室から出る。
瑠璃の脚は、ガクガク震えていた。
こんな達する 直前の状態のままで、人前に出た事はない。
すぐに溢 れてきそうだ。
抑えが利かない。

「合いましたか?」

瑠璃とチカの顔を見て、リックは尋ねてくる。

「ええ、とても。ステキでした。」

チカはニヤリと笑い、珍しく日本語で返した。

「良かった。」

リックは安心したかのように、少年のような氣を許した顔を見た。
その顔を見たら、瑠璃は震える。
急いでキッチンに行った。

「ご馳走さまでした。ルリ、美味しかった、ありがとう。」

「ええ……。また、いつでも食べに来て。ランジェリーのお礼よ。」

震えながらも、瑠璃はなんとか平常を保った。

「紅茶を淹れようね。お湯を沸かそう。」

そんな瑠璃の様子に、チカはニヤニヤとしている。
横に立った。

「我慢、しろよ。」

耳元で小声で呟く。
その忠告に、瑠璃は更に震える。
チカは澄まし顔でケトルで湯を沸かしてから、テーブルの上の食器を片づけ始めた。

「私が洗います。」

リックが立ち上がり、空いた食器をシンクに運ぶ。

「いいのよ、リック。これはチカの仕事なの。」

お願い、近くに寄らないで。
瑠璃は動悸が激しくなるのを止められなかった。

「そう。俺の仕事なんだ。俺の仕事を取らないで欲しいな。」

チカは珍しく、にっこりとリックに微笑む。

「お客さまは休んでてください。」

リックの肩に手を置き、ソファに誘導する。

「それなら……。ルリ、are you ill?」

リックの問いに、瑠璃はびくっと身体を震わせる。
瑠璃の異変に氣づいているのだ。
リックに欲情を悟られる訳にはいかない。

「大丈夫よ。パリの疲れが出たのかしら?」

咄嗟に訳の判らない嘘をつく。

「それなら休んでください。私は帰ります。」

「いいえ。大丈夫です。紅茶、飲んでって下さいね。」

チカはまた、にっこりと笑う。
普通ならば、すぐに帰れと追い出すだろうに。
どうして、こんなにリックを煽っているのか。
瑠璃は頭の中が判らなくなる。

「瑠璃も座ってなさい。」

チカに腰を抱かれ、瑠璃はびく びくっと震える。
ダメなのに、こんなのは。
瑠璃はチカに誘導され、リックの向かいのソファに座らされた。

「ルリ、休んでください。」

リックは心配そうに瑠璃の顔を覗く。

「大丈夫。病氣ではありませんから。」

「However... . 」

チカのこれまでにない、確信に迫る発言だ。
この人は、瑠璃を煽っている。
氣づいた。

リックの前で、瑠璃が明らかに欲情のしるしを見せるように誘導しているのだ。

「パリに行っていたんだね。」

「ええ、パリの雑誌の撮影で。」

瑠璃は眼を閉じて、受け答えをする。
水の音が聞こえるから、チカが食器洗いを始めたと判る。

瑠璃の露わになった欲望。
だけど反面、そんなのは嫌だと感じてもいる。

チカは、それを叶えようとしている。
瑠璃が望む全てを叶えてやる。
そう、約束したのだから。

「以前、チャスとパリにファッションの勉強に行ったよ。」

「チャスとは、どうして知り合ったの?」

上手い具合に、チャスとの出逢いを話してくれると氣が紛れる。
興味があるから余計に、瑠璃はその話を聞きたがった。

「In a College of fashion. 同じく学んだんだ。」

「それでなのね。」

「チャスとは話があった。楽しかった。」

リックとチャスの見た目の共通点は何もなさそうだが、しかしファッションの趣味は合ったのだ。

「チャスとは、ずっと友だちだ。」

「いいわね、そんな関係。リックはファッションの勉強をする前は何をしてたの?」

チャスより五年年上のリックだ。
入学以前に、彼も何かがあったのだ。

「私はuniversityを卒業して、 worked for the trading company. 」

商社に勤めていたというリックに、瑠璃は眼を開けて、じっと見つめた。

「私がこんな女性のような格好をしているのは、そのCollege of fashionの途中からだ。それまでは普通の男の格好だった。」

「そうなのね。人生が変わったのね。」

転機だったのだ、リックの。
個性的な同級生に囲まれ、リックも真実の自分を出せるようになったのだ。

「どうしてもfashionを諦められなかった。会社を辞めて、勉強が出来て、良かった。私はウィメンズが好きだ、小さい頃から。」

「今は幼い時の憧れの仕事をしてるのね。」

リックの夢。
叶えられて、よかった。
瑠璃は心底、そう感じた。
自分の事のように嬉しかった。

「チャスのおかげだ。チャスが私を引っ張ってくれたからだ。男が女のlingerieを作るなんて、何度、objected throughout the trade.  諦めそうな度に、チャスが助けてくれた。」

助け合う友。
チャスも辛い時にはリックに支えられたのだろう。

「お待たせしました。」

チカは紅茶を出した。

「チカの淹れてくれるa cup of tea、美味しいのよ。」

「本当だ。美味しい。」

リックは一口入れて、眼を細めた。

「あたしはcoffee淹れるの、得意よ。」

「では、I want to drink the coffee, too. 」

「また、今度ね。」

リックは、瑠璃と隣りに座ったチカを、よく見ていると氣づいた。

「ふたりは……お似合いだ。」

リックは嫌味なく、素直にそう言った。

「私が入る余裕はない。判っているが、それでも、ルリを愛している。突然、愛してしまった。」

瑠璃はその真っ直ぐな告白に、どきりと胸が震える。

「どうしたら、あなたが手に入るだろうか、いつも考えてしまう。」

「―例えば、どうしたら手に入ると思いますか?」

チカは冷淡にリックを見ていると氣づいた。

「さあ、判らない。こんな氣持ちは初めてだ。だけど、ルリ、あなたが欲しい。」

ずんっ、と、子宮が熱く疼 いた。
日本語が達者とはいえ完璧ではないからこそ、余計に素直な言い方に聞こえるのだ。
しかし、これがリックの本質だと判る。

女装の自分を曝け出した時に、素直な氣持ちに沿う事の歓びを見出した。
だから、リックは嘘をつかない。
そのままのリックを見せてくる。

ドキドキする。
リックに出逢うのがチカよりも早かったら、リックに惚れたのかもしれない。

女装に驚きつつ、この男の 種 が欲しいと、身体の欲求を抑えられなかったかもしれない。

ちっとチカは舌打ちを明らかにした。
そして、瑠璃の太腿に手を置く。

「あっ、」

思わず感じた 声が出てしまった。
チカはニヤリとして、そんな瑠璃の顔を見ながら、指をそこで動かしている。

「あっ……ん、」

声が、さらに出てしまう。
リックが瑠璃を熱く見つめているのが、ぼんやりとした眼に見える。

「瑠璃の負けだな。」

チカは低い声を瑠璃の耳に流し込む。

「お仕置き、してやらないとな。」

すっと、指が入っていく。

「ああっ!」

もう、我慢が出来ない。
いつものような喘 ぎ声が出てしまう。
左手で腰を摑まれ、立たされる。

ソファに座っているリックの前で、こんな事をされている。

「あ、んっ、はぁ……」

卑 猥な音が部屋中に響いているし、いけないと堪えても、瑠璃はさらに艶めかしい声が出てしまう。
そして、腿に垂 れてきているのが見られてしまう。
大量に溢 れてきている、どんどんと。

赤く燃え盛 るような頭の中で思考がまとまらず、チカにされるがまま、いつも以上の快感に瑠璃の身体は震え続けた。

ワザと音を大きく 立てるように 指を 激しく動かしている。
この音が、瑠璃をさらに乱れさせる。

リックは眼を見開き藍の瞳孔を小さくして、真っ直ぐ淫 らな瑠璃を見ている。
息遣いは小さいながらも荒くなっている。

ごくっと喉が動き、自分の 股間 に触れた。
そして、ドレスの裾から手を入れ、裾をたくし上げ、セクシーなパープルの紐の下着から取り出して、手で動かし始めた。

リックの逞しい 赤黒い ソレ。
そこに眼がいってしまう。

チカよりも長く見え、チカよりは細い。
それでも 逞しい 代物だ。
さらに息を荒くして、瑠璃を熱く見上げながら自分で している。

そしてやはり、整えたヘアはハニーブロンドだった。

「はあ ぁ ん、あっー!」

リックが、チカに指で されて 喘 いでいる瑠璃を見ながら、自分で している。
その事実がまた、興奮する。
瑠璃は自分から何度も勢いよく溢 れていくのが判った。

「あー。見られて嬉しくて、こんなに吹いちゃったね、瑠璃。俺の手、びし ゃ びし ゃだよ。下、見てご覧よ、ぐっ し ょりだ。」

見下ろすと、床のカーペットが濡 れている。
この様もリックに見られてしまった。
瑠璃は恥ずかしくて、さらに訳が判らなくなる。

いや、こんなの。
リックの前で、こんな事をするだなんて。
だけど。

リックが瑠璃を熱く見つめ、荒い呼吸で、早く手を動かしている。
あんなに興奮している、乱れた瑠璃を見て。

嬉しい。
もっと、見て。
いや らしい瑠璃の顔を見て。
瑠璃、チカにされると、こんなになるのよ。
チカだから、いいの。
リックだから、見られていいの。
他の男なら、到底許可しない。
チカに、リックの前でこんな 恥ずかしい事をされて、嬉しいの。

登規さん、もっと、指で かき 混ぜて。
恥ずかしい音を、もっと立てて。
瑠璃をもっと、おかしくして。
リックの前で、おかしくして。

瑠璃が 昇りつめているのを見られ、こんなにいや らしい音を聞かせ、体液も知られた。
恥ずかしい。
でも、最高に嬉しい。

「あ あ あ っ!」

全身を小刻みに震えさせ、チカにすっかり後ろから抱えられている。
また、何回も勢いよく飛び出してきていた。

「イ ッたね、瑠璃。リックに見られながら、イ ッちゃったね。」

低い意地悪な声が耳元でささやく。

「良かったんだな、いつもより。」

瑠璃は、こくこくと頷いた。

「見られて氣持ちいいのか。とんでもない淫 乱だな、お前は。」

その辱 めも、嬉しい。
濡 れた指を、チカは自分の口に入れてから、瑠璃の口に入れてきた。
瑠璃はそれに舌を 絡 める。

「少し休んでなさい。大丈夫、あとからもっと、良くしてあげるから。」

瑠璃を床に座らせた。
ばたんと、瑠璃は寝転がる。

チカはつっと、リックの前に立ちはだかった。
手を動かしているリックを見下ろしてから、しゃがむ。
そして下着を脱がし、いきなり ソレ を手で摑み、口に 咥 えた。

リックは驚いているが、なすがままされていた。

「お…oohh…ah、」

チカはリックを見上げながら、口を動かしている。
口が大きいから、すっぽりと入る。
それを吸っている。
リックは氣持ち良さそうに顔を歪めている。

つっと、チカの頭の上に両手を置いた。
もっと、していい。
その肯定の証しだ。
チカのしている事を、リックは喘 ぎながら、濡 れた眼でよく観察している。

チカ、巧い。
瑠璃はチカの行為に見惚れていた。
口でずっと吸いながら、深く出し 入れをしている。
とても、氣持ちよさそうだ、リックが。

ああ、あたし、チカが男を攻めているのを見るのが好きなのだ。
興奮する、とても。
そうと知った。
チカの口の動き、出し 入れしているリックの ソレを見ていると、さらに溢 れ出してくる。

「Chicca…come!  I'm coming! 」

リックが切なさそうに、声を出した。
チカはリックを見上げながら、口を離さなかった。

「Uh! あ……うっ!」

チカの頭を押さえながら、リックは震えていた。

チカは口を離し、立ち上がり、つっと口元を手の甲で拭った。

「コイツは、渋い。渋味だ。」

チカは床に座っている瑠璃を見下ろして、真剣な顔で伝えてきた。

「そう。違うのね、ひとりひとり。」

「なんだね。口、洗ってくる。」

そう言い、平然と部屋から出て行った。
瑠璃は、汗だくの金髪を掻き上げながら、呼吸を整えているリックを見上げた。

「He is incomprehensible, isn't he? 」

リックは放心したまま、そう呟く。

「そうね。訳の判らない人よ。でも、氣持ちよかったでしょ?上手でしょ?」

瑠璃は笑いながら、リックを見ている。
まだ、硬さの残っている ソレも眼に入る。
リックは少し恥ずかしそうに視線を外し、余所を見た。

「男にされたのは、初めて?リック。」

「初めてだよ。まさか―ルリの男に、なんて。」

リックは戸惑っている。
何が起きたか、よく把握出来ていないような顔だ。

「前に男の恋人がいたの、チカには。男の経験は、その一人だけだけど。口で 愛する感覚が忘れられなくて、愛情抜きで男の人を口で 可愛がりたいって、よく言ってたの。」

「それで、私が標的にされたのか。」

hahahaと自嘲するように静かに笑った。

「あんな男でいいのか?He's quite a savage. He violated you before my very eyes. 」

リックは瑠璃に真っ直ぐ視線を戻す。

「リック、あたし、彼にああいう事されるのを望んでいるの。あたしたちは、そうなのよ。あたしは嬉しいの。判る? I'm a masochist. 」

リックは眼を見開いていた。
チカだとて、無闇に他の男の前で、瑠璃にこんな事をしないだろう。
リックだからこそ、こうしたのだ。
ふたりの 睦みを 見せる為に、リックを選んだのだ。

「つまりは、変態カップル、て事だ。」

部屋に入ってきて、チカは、そう口にする

「Thanks for the juice. 」

チカは冷ややかに、リックを見て礼を述べた。
リックは恥ずかしそうに顔を逸らす。
男に口で されて、感じてしまったのだから。

だが、しかし。
きっと、リックはチカにされた事を忘れられない。
何度もあの口の感触を想い出して、硬くなるだろう。
今も既に、リックの手の中で 立派になっている。

チカは氣にせず、瑠璃の隣りに座った。
瑠璃にキスをしていく。

「I don't let you touch Ruri. 」

瑠璃の顔や首に唇を這 わし、リックを見ながら、そう宣言する。
ドレスの上から胸を揉 みながら、何回も音をチュッと立ててキスをしてくる。

「あ……」

チカが首の後ろに舌を這 わせたので、また、艶めかしい声が出てしまう。

「リックの前で、しちまうか?ん?」

瑠璃の耳に唇を当てて、チカは低い声でそう言う。
耳の中に 舌 が入ってきた。

「ああっ!」

これが、好きだ。
脳を侵略されている氣分になる。
ああ、支配して。
もっと、支配して。

耳で舌を動かしながら、また、ワンピースの裾から手が入る。
指の動きですぐに、音が立ってきた。

「あ あ んっ、あ、んっ、」

「瑠璃、挿 れていい?」

その、ささやき。
瑠璃は、ゾクッとして震える。
リックがいるのに。
リックの前なのに。

「脱がさないよ、瑠璃の裸は絶対に見せないよ。後ろから、このままで。」

チカの淫 らな舌と指の動きに、瑠璃は仰け反る。

見せたいのだ、リックに。
見せつけたいのだ、リックに。

この女は俺のものだ、と。

「い、挿 れて……」

瑠璃は熱い眼でチカを見つめる。
あたしは、あなたの言いなり。
あなたがしたい事、なんでもしてね。

チカは全部脱いで、用意した。
瑠璃を立たせて、後ろから腰を摑む。

「あ、あっ、あーっ!」

いつもより、硬い、大きい。
瑠璃は仰け反って叫ぶ。

興奮している、チカは。
リックの眼の前で、瑠璃をこんなに悦ばせている事に。

リックがまた自分の手で 擦 っているのが、ぼんやり見える。
三人の息遣いが、淫 らな音が、部屋の中に響く。
瑠璃は口の中に 自分の指を入れた。

「瑠璃。」

チカは瑠璃を動かして、ソファに手をつかせた。
瑠璃の顔のすぐ近くに、リックの切なそうな顔がある。

「口が寂しいのか?口にも 欲しいのか?」

瑠璃は頷いて、振り向く。
色氣のあるチカの蒸気した顔が見えた。

「しゃ ぶってやりなさい、瑠璃。」

そのチカの命令に、瑠璃はどくんと心臓が飛び出そうな衝撃を感じた。
チカに後ろから されながら、リックを口で 愛する。

ああ、そうだ。
そうなのだ。
ようやく、判った。
チカの望み。
これがチカの最大の欲望。

同じモノを 口で愛する。
瑠璃が他の男を、口で慈しんでいる処を、それを、この眼でしっかりと目撃する。

二花を共有していた時に、身につけてしまった歪んだ快感。
同じ男の身体を共有している、身震いする共感覚

だけど、瑠璃の身体を他の男に触れさせるのは危険だ。
だから、チカの味わいたかった口での愛 撫を共有させた。

「ほら、瑠璃。欲しいんだろ?口に。」

ああ、コレを、直で触りたかった。
眼の前にある、コレを。
チカとは違うカタチ。
それ自体の 反り具合と方向が、男によって異なるのだ。
瑠璃は震えながら、柔らかい手で摑んだ。
リックが、びくっと震える。

「Ah…Ruri…」

リックはセクシーな顔で瑠璃を見つめている。
本当に、いいのかい?
そう、問うているような青い眼だ。
だけど。

してくれ。

そう、懇願しているような青い眼だ。

その眼を見つめながら、瑠璃は口をつけた。

「Ah…oh…! Ruri…come! 」

やはり、英国人はこんな風に英語で喘 ぐのだと、当たり前だが改めて実感した。
チカは日本語で喘 いでくれる。
それは、ロンドンで過ごしたのは九歳までだからだ。
身体の愛の営みは、成長して、日本で体感したのだ。
日本で性の情報を見聞きしたから、日本語で喘 ぐのだ。

最初はチカの唾液の匂いと味がした。
さっき、チカが愛したからだ。
チカもこんな氣持ちで、二花を口で 愛したのだ。

そのうち、リックの匂いがしてくる。
違う男の、味。
滲み出てくる液体の、味。

後ろでチカは止まってそのままで、瑠璃を観察していると判る。

愛する瑠璃の中に入りながら、瑠璃は他の男を念入りに口で 愛している。
本当は二花で体感したかった三人での遊びを、今、体験している。

この、危ない快感。
瑠璃は、どんどんと溢 れてくる。
チカが益々 硬くなり大きくなっていくのが、判る。

歪んでしまっている。
今は危うさを楽しむが、このままではいけないと、瑠璃は危険信号を察知していた。

チカを癒やさないと。
あたしたちは、母となり、父となるのだから。

チカはきっと、自分の父母の不貞を嫌悪しながらも、そこに引き摺り込もうとしている、瑠璃を。
同じ苦しみを、妻の瑠璃で味わおうとしている。
それが、最大の歪み。

ああ、だけど。
この、快感。

リックは氣持ちよさそうな熱い吐息を瑠璃の顔に下ろし、瑠璃の頭に手を置いている。
チカの体温を中で腰で感じながらの、他の男の体温を口で頭で感じる、このとろけそうな快感。

リックのコレを愛する。
こうしたかったの。
口で知りたかったのだ。
しかも、チカを中で感じながら。
こんな風に、三人で したかったのだ、ずっと。
おそらく、初めて逢った時から。
チカの欲望、あたしの欲望。
ふたりの欲望。

Ruri…I love you. 」

リックは切さそうに瑠璃の頭を撫でた。
舌で先端をつつく。
裏を舌でなぞる。
浅く、深く、口内に出し入れする。
それを瑠璃は繰り返していた。

「Oh! Ahhhh!  Come…come!  Ruri, I'm coming! 」

瑠璃の頭を押さえてくる。
リックの腰が動いた。

ああ、判る。
チカ、本当ね。
リックのは、渋いわ。

飲み込んでからしばらくそのままで、それから瑠璃は、リックの顔を見ながら吸った。

RuriRuri…愛してる。」

リックは愛しそうに瑠璃の頬に触れた。
チカは、ぐっと瑠璃の身体を引く。
リックから離れさせた。

「Your finished were so early. 」

チカは嘲笑って、リックを見下ろしている。
リックは、かっと赤くなり、怒りを隠そうとしない。

チカは瑠璃をソファの背もたれに手をつかせ、激しく腰を動かしてきた。

「ああ、んっ!スゴいっ!」

いつもより、スゴい。
中の圧迫感が違う。
当たる音と、水の音が響いていく。

「チカ、スゴいのおっ!」

「お前もスゴいよ、瑠璃。べち ゃ べち ゃだ。いつもより、絡 みが凄まじいよ。あ……吸いつく、吸いついてくる!」

脚を伝って落ちていく。
何が溢 れているのかも、もう判らない。
もっと、して。
チカ、もっとめち ゃ くち ゃにして。

後ろからを絶対にリックに見せない。
横にリックの身体がある。
リックの荒い息も、近くで感じている。
また、自分の手で擦 っているのが、判る。

淫 らな空間。
乱れた関係。

何回も、達した。
訳の判らない言葉を、発し続けた。
チカでないと、ここまで狂えない。

瑠璃が何回達しても、チカはまだ動き続けている。
野獣だ。
ずっと激しく、時にゆったりと。
身体の奥で、ゴンゴンと 打たれ続けている。
普段なら興奮すると一回目は早いのに、まだピークが来ない。

リックに早いと言った手前、我慢しているのか格好つけているのか。
それとも。

チカ、さっき出してきたの?

口を洗うと言って、部屋から出てバスルームに行った、その時に。

きっと、リックを口で愛しながら、久しぶりの男の感触と味に 大興奮したのだろう。
リックが出した時、自分も限界だったのだ。

チカは切なそうな顔で後ろから瑠璃にくちづけてきた。
舌が絡 んでくる。

うふふ、リックの味がするでしょ?

瑠璃も舌を絡 ませる。
そのまま情熱的なキスを 交わし 続ける。

「Rick, Come on!

チカは瑠璃の背中から、リックを呼んだ。
リックは本能的なのか、その言葉にふらっと立ち上がり、チカに近づく。
チカは腰を動かしながら、リックのそれを手で摑んだ。

「Ah…! 」

「誰が、イ クのが、いちばん早いかな。」

チカ、ドSだ。
ドS最上級モードだ。
余裕綽々で、ふたりいっぺんに相手をしている。

ゾクッとする。
あたしが愛している男は、こんなにも相手を支配するのだ。
本能で支配してしまう。

リックだとて、普段ならば女性をリードするだろう。
なのに、今はもう、チカの言いなりになっている、自然と。

ノーマルの男すら、惹きつけてしまう。
その、チカの魅力、危なさ。
チカ自身が怖がった支配力。

リックは眼を潤 ませ、口を半開きにし、チカを見つめている。
チカの虜だ、もう。

「あ……イ ク、」

瑠璃は小刻みに震えだした。
そんな瑠璃の手を、リックはハシっと握ってきた。

「Come…、」

その指も、震えている。

「あっ、はっ、」

チカの動きが早くなった。

「ああっ!」

その衝撃の快感に、瑠璃は叫ぶ。
スゴく、いい。
ぎゅうっと中で チカを絞っていた。
中が痙攣するかのように、収縮を激しくしてきた。

「Coming! 」

リックが叫んで、動きの止まったチカは、そこに口をつける。
リックを吸い取っていた。

「あ……ああ、あ……。」

同時に、チカが出していると判る。
それを中で感じながら、瑠璃はリックの手を強く握りながら震えていた。

三人、ほぼ同時に達するなんて。

瑠璃はガクガクする脚と、とてつもない快感に打ち震えて、そのまま倒れそうになるが、後ろからチカに抱えられた。
リックも腕を伸ばしていた。

「触んなっ!」

チカはリックから瑠璃を離す。

「誤解するなよ。瑠璃は俺の女だ。」

愛しそうに抱きしめ、瑠璃の首に唇をつけている。

「お前じゃあ、瑠璃は満足しないんだよ、リック。」

そう嘲笑うように見ている。
瑠璃のぼんやりとした眼でも、リックが悔しそうにチカを見返していると判る。

それでも。
悲しそうだった。
リックはもう、チカに患ってしまったのだ。

「俺たちの刺激を求めた プレイにつきあわせただけなんだよ。Thank you, Rick. 」

そう冷酷に言いながらも、チカがわざとリックを突 き放しているのが、判る。
自分が口で 愛した男に、情をいだかないように。

「I don't mind that. I want you to invite me in this way. 」

それが、リックの本心だろう。
自分でも躊躇しながら、リックはそう口にしていた。
何を口走ったのか、と驚いていた。

「None. Never again.」

チカは、きっぱりと否定する。
そのチカの緑の眼を見ながらリックは首を横に振り、下着を穿いてドレスを整え、バッグを持った。

Ruri、ありがとう。一生、忘れないよ、今日の事は。……あなたは sex で更に美しいね。」

切なげに、虚ろな瑠璃を見つめている。
そして、チカの肩に手を置く。

「私を呼んで、いつでも。味わせてあげるよ、チカ。」

もう惑いがない。
そう美しく微笑み、部屋を出ていった。
玄関も出ていく音が聞こえる。

「……ほら。また、チカの虜を増やしちゃったわよ。」

「まさか。」

チカは瑠璃から 抜いて、瑠璃をソファに座らせる。

「ごめん、瑠璃。」

チカは瑠璃に背を向けた。
その身体が震えているのが判る。

「リックに、瑠璃の善 がってる姿を見せてしまった。あんな……」

「いいの。氣持ちよかったのよ、瑠璃。」

リックはこの件を絶対に他人に漏 らさないと確信がある。
チャスにも話さないだろう。
いや、話せないだろう。

「瑠璃にさせてしまった。」

「……うん。でもねえ。」

瑠璃はチカの手を引き、握った。

「あたしたち、本当は求めていたのよね。三人で する事。判っちゃった、物凄い氣持ちよくて。チカもよね?」

「ごめん。」

身体が大きく震えている。
涙声になっているのも、判る。

「一回、体験したから満足したわ。」

「もう、しない。こんな事。」

「ええ。」

瑠璃は、楽しかったと偽りなく言えるが、チカには重い後悔が残ったのだ。
瑠璃は氣怠く長い黒髪をかき上げた。

「こういう時、女の方が打算的って、よく実感するのよね。楽しかったんだから、それでいいじゃないって、記憶として真っ直ぐ留められるから。」

「そうなんだろうね。俺には、ムリだ。生涯、後悔する。」

チカがこんなに悔やむのならば、次は無いと決意した方がラクだ。
瑠璃は、またしてもいいとは思うが。
チカの背中を抱きしめる。

「瑠璃、良かったの。狂っちゃうかっていうくらい。チカも、そうよね?」

「……良かったよ。」

互いの隠していた同じ欲望を叶えた。
瑠璃には、すっきりとした爽快感がある。
だから、もういい。

「リックには悪い事したわね。チカに夢中にさせちゃったから。ねえ、これからも、リックにしてあげたらいいし、チカも口でしてもらったら?」

「リックにはしない。情が湧くと、厄介だ。もう、恋愛ごっこは要らない。」

「……そうなのかもね。」

こうして、自分勝手に三角関係を作ってしまったのだから。
リックはこれから、身体が自然とチカを求めてしまうだろう。
瑠璃とチカ、どちらにも惹かれてしまった。
チャスだけでなく、ふたりいっぺんに惹かれてしまう状況を、もう一度作ってしまったのだ。

それは、罪。

地獄でありながら、あの甘美さを再現させ、より感じたかったのだ、あたしたちは。

チカは振り返って、瑠璃を勢いよく抱きしめた。
子どものように泣いているチカの顔が見えた。

「けど、俺、堪らなく興奮したんだ!瑠璃を独占したいのに、誰にも見せちゃいけない瑠璃をリックに見られて、舐 めさせて、興奮したんだっ!」

「うん。」

泣きじゃくるチカを、優しく抱きしめる。

「それに俺、やっぱり男が好きなんだよ!愛情は要らない!ただ、男の身体に興奮する!」

「うん。してきて、いいのよ。」

男と一回限りの遊びをしてきていい。
瑠璃は、それをしっかりと許可した。

「二花以外の男を知りたかった……俺はその欲望を閉じ込めていたんだ。瑠璃がいるのに、それはいけない事だって。」

「判るわ、その葛藤。」

だからこそ、この機会を伺っていた。
三人で快楽を味わえるチャンスを。
リックならば、好条件だったのだ。

「チカが望むなら、また違う人と三人で していいのよ?」

「いや、ダメだ。なんで、俺だけの瑠璃のあんな姿をリックに見せてしまったのか、悔いしかないんだ。」

「そうね。」

それはそれで、逆療法だったのかもしれない。
癒やしが起こったのだ、チカに。
堰き止めていた自分の怖さを、ついに思い知ったのだ。

「いい子よ、登規くん。」

チカの頭を撫でる。

「だから、いいのよ。男の人と遊んできても。」

チカは涙を流しながら、瑠璃を見つめる。

「こんな俺でも、いいのか?」

小さい子どものようだ、まるで。
こんなに大きな逞しい身体なのに。
瑠璃は微笑んで頷く。

「俺の事、嫌いにならない?」

「ずうっと、大好き。」

チカにくちづける。
本当よ。
あなたが望む事全て、あたしは受け入れられるの。
それが純粋な願いならば。

全て脱いで、バスルームでシャワーを浴び、抱き合いながら激しくキスを交わした。
長い間、そうしていた。

こうして、全ての嘘を解き放って、あたしたちは夫婦になっていく。
嘘は、要らない。
それが社会的通念で世間に受け入れられなくとも、あたしたちは本音で向きあい続ける。

「あなたがリックを可愛がる処、とても興奮したの。」

「僕も、瑠璃に見られてると思うと、堪らなく興奮したんだ。」

「だけど、チカが攻められてるのは見たくないわ。」

「それは、俺も見られたくないよ。しかもー」

チカは瑠璃の手を取り、自分の尻に当てた。

「冗談で掘られたいって言っても、本当はイヤだ。掘るのはいいけど、掘られるのは、男にされたくないんだ。」

「チカらしいわね。」

「瑠璃に、されたいんだよ。」

チカは、はにかんでいる。

「スゴいものね。急に飛び出てくるんだもん。」

「快感……」

その感触を想い出して、チカはうっとりとしている。

「してあげる、トウチカくん。」

「うん、して。」

小さな子どものようなチカが愛おしい。
瑠璃だから、こんなに弱い部分を晒してくれるのだ。
それが瑠璃の歓びだった。

…………………………………………………………………………

その知らせが飛び込んできたのは翌日だった。

「そう。」

「うん。」

チカはスマートフォンに入った報告を瑠璃に伝えた。

「お葬式は?」

「まだ未定だね。おそらく一週間後くらいかな。」

「一週間!」

日本の感覚にはない、葬儀までの長さだ。

「なので、瑠璃。」

「ええ。そうして。」

チカがはっきり言わずとも、判る。
予定ではもう帰国の時期だが、葬儀が終わるまでは滞在を伸ばす。
瑠璃がモデルをするブランドの会社の会長が亡くなったのだ。
せめて、葬儀には出たい。

「この時が近いうちに来るって判っていても、ショックよね、Amelia。」

「そりゃあね。」

母親を早くに亡くしたチカだからこそ、共感もある。

「チャスは……」

「明るく振る舞うだろうね。仕事も変わらずこなして。」

チャスの笑顔が浮かんでくる。
葬儀の前、近いうちに逢おうとは考えていた。

滞在が伸びたので、チカは日本での帰国後のスケジュール変更をこなし、逆にこちらでの空いた時間を、行けていなかったバッキンガム宮殿や美術館や博物館、公園、ショップなどを次々と訪れた。
何回も古い二階建てバス、ルートマスターを好んで乗った。
チカが嫌がったが、また美容室に連れていき、サイドとバックを刈って貰った。

チャスに呼ばれたのは会長の訃報から三日後だった。
Ameliaはおらず、瑠璃とチカは、変わらず活気あるその社屋のミーティングルームでチャスを待った。

コンコンとノックが聞こえ、返事を待たずにドアが開く。
これだけでチャスが来たと判る。

「ありがとう、来てくれて。」

チャスは笑っている。
それでも、少し痩せたようにも見えた。

「ルリのWedding dress作ってるけど。今、急いでこれを作ったんだ。」

椅子に座っている瑠璃は、ぽかーんとチャスを見上げていた。

「チャス、随分と流暢ね、日本語が。」

驚きの進化だった。
躓きもなく、頭に浮かんだ意思を日本語ですらすらと、日本人並みのスピードで伝えてきたのだから。

「So? コウヘーのおかげ。」

チャスは褐色の前髪を掻き上げた。
髪に余り手入れがされていないように見えた。
洒落た人なのに。
瑠璃は、よくチャスを観察していた。

忙しいから、というより、わざと忙しくしているのかもしれない。
悲しみを感じないように。

「コウヘーくんっていうの?彼氏。」

「Yes! 」

「どんな子?」

「カワイイ。オレより、しっかりしてる。和食、作ってくれる。オイシイ!」

顔かたちが知りたいのだけどな。
だが、瑠璃は微笑んでチャスの笑顔を見ている。

トーチカ~瑠璃シーン⑥前編
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それが罪と知っていても、愚かだと感じていても、淫 らだと判っていても。

これが本音。
そのままの偽りのない姿。
瑠璃とチカは、そこを体験していく。

互いの本音を晒して、互いに受け入れていく。
そのままの自分を、そのままの相手を。

相手の全てを、ただ受け入れられますか?

これは葛藤が起こるだろう。
独占欲に苦しむだろう。

それを瑠璃とチカは、超えていく。
始まりの不義理から。

俺とお前の攻防戦。
次回で、ひとつの決着。

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